FF10-P.L.SCENARIO_03
ジレンマの航路
-Is my father alive.......?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<ボルト=キーリカ>
【ユウナ】
「わたくし 召喚士ユウナと申します ビサイド寺院から まいりました
【妻】
「あっ 召喚士様!
ユウナ
「ほかに召喚士がいなければ わたくしに異界送りをさせてください
【夫】
「おお ありがたい!
【妻】
「もう 身内が魔物になるのは 覚悟しておりました……
ユウナ
「どちらへ行けばいいですか?
<ユウナ、誘導され、先へ進む>
ワッカ
「オレたちは町の様子を見てくる 人手がいるだろうからな
ティーダ
「え?
【住民A】
「あんた? やっぱり生きてたのね?
「あっ!
「……なんだい 店はやってないよ!
【男】
「はあ……酒場は閉まっているよ 酒でも飲まないとやりきれない
レッティ
「ティーダさん 足元注意! 危ないから この先まだダメですよ
ティーダ
「『異界送り』ってなに? なにが始まるのさ?
ルールー
「ふぅっ
「あんた 忘れたんじゃなくて 本当に知らないって感じね
「死者は迷うのよ
「死んでしまったのが悲しすぎて 自分の死を認めようとしない
「もっと生きていたいと願いながら まだ生きている人間をうらやむ
「死者は生きている人間がうらやましい
「その気持ちは やがてねたみや悲しみに変わる
「そういう死者の心がスピラにとどまると 命を憎む魔物となって人を襲う
「そんなの悲しいでしょう?
「だから『異界送り』をして 迷える死者を眠らせてあげるのよ
ティーダ
「それも召喚士の仕事なのか?
<ルールー、うなづく>
<ユウナの異界送りが始まる。→村の民はむせび泣きながら、それを見守る。→異界送り、終了>
ティーダ
「……召喚士って大変だな
ルールー
「ユウナはそれを選んだの なにもかも 覚悟の上のこと
「私たちにできるのは ユウナを見守ることだけよ
「最後の時までね
ティーダ
「……最後の時?
「最後って なに!?
<住民らが驚いて向く>
ルールー
「『シン』を倒す時まで
<と言ってルールー、ユウナのもとへ>
ユウナ
「わたし うまくできたかな?
ルールー
「初めてにしては上出来
「きっとみんな異界に行けたわ でも 次は泣かないようにね
【ユウナ】
「うんっ……
次なんて なければいい……
『シン』を殺された人たち……
『異界送り』をするユウナ……
それを見守る人たち……
不思議で……少し恐ろしい儀式
もう見たくないと思った
<翌朝>
<宿屋>
【子供】
「おっきくなったら ブリッツボールの選手になるんだ!
【老人】
「こないなっても ここはわしの故郷での 今さら よそに移り住む気はねぇだ
<ティーダ、宿屋を出ると>
ダット
「やっと起きたっすか〜!? ワッカさんが待ってるっすよ〜!
【女性】
「悪い夢だと思いたかったの
「これは夢で 目がさめたら全部もとどおりなんだ……って
「でも 朝になってもなにも変わってなかった……
【ティーダ】
「っ?
<ティーダ、少女の足場が崩れかかっている事に気付く>
【ティーダ】
「わっ!
<ティーダ、少女を抱え、脱出する。→小さな家が崩壊。→少女、お辞儀をして、去る>
【住民B】
「こうやって修理しても また『シン』が来たら おしまいだ
「こわされては直し 直してはこわされ……その繰り返しさ
【住民C】
「ユウナ様が来てくれたおかげで みな安らかに異界に行けたわい
「ありがたいこった エボンのたまものじゃの
<酒場>
【住民D】
「料理なんか出さなくていいから ここにいたいんだ
「沖を見るのが 怖くて怖くて…… ヤツの影が見えるような気がするんだ
【マスター】
「妹を助けてくれたのはあなたね?
「あの宝箱は ほんのお礼よ えんりょしないで受けとってね
【少女】
「助けてくれて ありがとう おうち こわれちゃったけど……
「おねえちゃがいるから わたし 元気だもんね!
ワッカ
「お 来たか
「ビサイド・オーラカ集合!
「これから寺院へ行く ビサイド・オーラカ必勝祈願だ!
【オーラカ一同】
「おうっ!
ワッカ
「キーリカの寺院は 大召喚士のオハランド様が暮らしていたところだ
「オハランド様は 若いころは ブリッツボールの名選手だったんだ
ティーダ
「ワッカ
ワッカ
「ん?
ティーダ
「必勝祈願はいいんだけどさ なんか……いいのかな
ワッカ
「ブリッツで浮かれたら マズイってか?
ティーダ
「こんな時だしさ
ワッカ
「こんな時だからこそ だ
「選手は力の限りをつくして戦う 観客はひいきのチームを応援する
「やなこと つらいこと 試合中だけは忘れられる
「それが 長い間このスピラでブリッツがなくなっていない理由だ
「オレはそう思うな
ティーダ
「そっかなあ……
ワッカ
「いい試合して カッ飛ばそーぜ
「なっ!
ティーダ
「おう!
ワッカ
「寺院は森を越えたところだ んでは 行くぞ!
【ビースト・メンバーA】
「みんな大会を楽しみにしていたのに 『シン』のせいで……くそっ!
「オレたち選手も 練習なんかやってる場合じゃない
【ビースト・メンバーB】
「オレたちキーリカ・ビーストが優勝すれば 島のみんなを はげませる
「それを思えば 練習にも気合が入るってもんだ
【住民E】
「毒気のせいか なんにも思い出せねぇ 自分の名前も 住んでた家もな
「ここに座ってれば 誰かが気づいて助けてくれると思ったが……
「だーれも相手にしてくれねえよ みんな自分のことで せいいっぱいらしい
<キーリカの森>
ワッカ
「どうした?
ルールー
「ユウナがね あんたもいっしょにってさ
ユウナ
「あのさ…… ガード お願いしちゃダメかな
ワッカ
「なんだそりゃ? 冗談よせよ ユウナ
「こいつはブリッツはできるけど 魔物との戦いはシロウトだぞ
ユウナ
「ガードじゃなくてもいいの そばにいてくれれば……
【ワッカ】
「えっ?
<ワッカ、大袈裟に驚く>
ティーダ
「なにそれ? どゆこと?
ユウナ
「それは……えっと……
ルールー
「どうせみんな寺院に行くんだから 話は あとでいいでしょ?
ユウナ
「うんっ……
「ごめんね 突然
ティーダ
「ごめんって言われても…… なんだよ よくわからないな
ユウナ
「……ごめんなさい
<戦闘:バルサム>
ルールー
「!
「キマリ! 『竜剣』を ためしてみたら?
ティーダ
「なんだよ 『りゅうけん』って
ルールー
「本来は 敵を弱らせて自分を回復するワケ
「でもロンゾ族が使えば 魔物のワザを自分のものにできる場合もある
ティーダ
「おっ すごそう!
<キマリ、『竜剣』を使用して、“タネ大砲”を取得する>
<バルサムを撃破>
<戦闘終了>
ガッタ
「全体 止まれ!
ルッツ
「あの魔物は この森の主『オチュー』
「討伐隊の手にも負えん凶暴なやつだ ここは無駄な戦いを避けろ
ガッタ
「警戒中 警戒中
ルッツ
「オチューの強さは ほかの魔物とケタちがいだ
「討伐隊が束になっても倒せるか あやしいな
<戦闘:はぐれオチュー>
<はぐれオチューを撃破>
<戦闘終了>
ガッタ
「すげー!
ルッツ
「やるな……あんたら さすが召喚士とガードだ
ガッタ
「先輩! 負けちゃいられませんね
ルッツ
「もちろん 負けないさ
ガッタ
「来たれ〜若人〜討伐隊〜♪
「『シン』を倒せ〜 かわいいあの子もふりむくぞ〜♪
ルッツ
「ワッカに いい思いをさせてやってくれ たのむぞ
<ティーダ、『エリクサー』をもらう>
ガッタ
「あんた 大会終わったら討伐隊に入りなよ 歓迎するぞ
【討伐隊メンバー】
「はあ……はあ…… 練習中! 練習中!
【隊長A】
「討伐隊は来るべき大作戦にむけて 練習中だ 『シンのコケラ』を目撃したら 報告たのむ
「【キーリカ寺院】へのお参りか? 寺院へは そこのケモノ道を抜けていけ
「森には毒を持つ魔物も現れる 油断は禁物だぞ!
<ティーダ、『万能薬』をもらう>
【隊長A】
「見たぞっ! よく『オチュー』を倒せたな 討伐隊スカウトしたいぐらいだ
「勝利をたたえて これを進呈しよう
<ティーダ、『バファイシールド』をもらう>
【隊長B】
「ガードのみなさん ご苦労さまです!
「『シン』に襲撃された地域では 魔物の数が増えるようです
「道中 お気をつけて
<ティーダ、『ハイポーション』をもらう>
<キーリカ寺院・参道>
ワッカ
「ふふふ……
「この石段はな ゆいしょ正しき石段なのだ
「オハランド様が現役時代に ここでトレーニングしたのだ!
オーラカ一同
「ふふふ……
<オーラカ一同、屈伸をしてティーダを意味ありげに見ている>
ティーダ
「は……
「勝負ッスね
「オレに勝てると思ってんの?
オーラカ一同
「ふふふ……
ワッカ
「ユウナ たのむ
ユウナ
「よぉい!
<ユウナ、手をあげるが>
【ユウナ】
「ふっ ふふっ
<先に階段を駆け上がる>
ワッカ
「あ!? ずっこい!?
<ワッカ、オーラカのメンバー、続いて階段を駆け上がる>
ルールー
「いつまでも子供ね
<すると、オーラカのメンバーが慌てて逆走してくる>
ダット
「まずいっすー!!
ワッカ
「早く! 手伝え! 『シンのコケラ』だ!
<戦闘:『シンのコケラ:グノウ』&グノウの触手A&B>
<『シンのコケラ:グノウ』&グノウの触手A&Bを撃破>
<戦闘終了>
ティーダ
「はぁ はぁ はぁー…… はー
「きっつぅ〜
ワッカ
「ははは……悪かった ついおまえを呼んじまった
ティーダ
「ガードは大変ッスね
ワッカ
「おまえバトルのほうも 才能あるみたいだよな
ティーダ
「やめてよ
「あのさ 『シンのコケラ』ってなに?
ルールー
「『シン』の体から はがれて 置き去りにされた魔物のこと
ワッカ
「放っておくと『シン』が戻ってくる さっさと退治しちまわないと
バトルの才能があるかもって
ワッカに言われて……
このとき ユウナのガードになることを
頭のスミで考え始めたような気がする
ワッカ
「そういや……あれだ ザナルカンドには魔物はいるのか?
ティーダ
「あまりいない たまに出ると大事件だな
「ザナルカンドのことなんて 信じてないくせにさ
ワッカ
「……考えたんだけどよ
「『シン』にやられた人間は 死ぬんじゃなくて……
「『シン』の魔力で1000年前だか後だかの世界に運ばれるのかなって
「んで ある日突然ひょっこり帰って来たりしてさ……
ルールー
「いつもながら感心するわね
【ワッカ】
「あん?
ルールー
「自分をだます方法を 次から次へと考えつくから感心するって言ったの
「『シン』はチャップをどこにも運ばなかった
「彼を押しつぶして ジョゼの海岸に置き去りにした
「あんたの弟は……二度と帰ってこない
「それから これも言っておくわ
「あんたがどんなに望んでも 誰もチャップの代わりにはなれない
「ジェクト様の代わりもどこにもいないし……
「もちろんブラスカ様の代わりだって どこにもいない
「そんな考え方……悲しくなるだけよ
<ルールー、先へ行く>
ワッカ
「オレだって 弟の代わりなんて できねぇんだよ……
「まあ いろいろあってな 気にすんな
ワッカとルールーと
チャップってヤツの間に……
そう オレの知らない
複雑な事情があったんだなって……
それくらいはわかった
でも そういう話題は苦手だった
<大広間>
ダット
「ブリッツもバトルもできるなんて ほんと器用だよな あんたってさ!
レッティ
「ここがオハランド様ゆかりの地か…… なんだか身が引きしまるよな
【住民A】
「ワシャ毎日あの石段を登っとるんじゃ おかげで病気知らずじゃよ
【住民B】
「もう『シン』が来ないように よ〜く祈っておかんとな
【住民C】
「討伐隊は 召喚士様の力を借りずに『シン』と戦う気らしいな
「無謀ってうかバチあたりっつうか…… どうなっても知らんぞ
【住民D】
「ここにいたら 有名人に会えるって聞いたんだけど
「いったいどこにいるのかしら
<すると、ブリッツボールの選手らしき男たち三人が寺院からやって来る>
ワッカ
「おまえたちもオハランド様に必勝祈願か?
【ビクスン】
「祈願だぁ?
「われらルカ・ゴワーズは常勝だ! 祈願など必要ない!
ワッカ
「じゃあ なーんでここにいる
【ゴワーズメンバー】
「もっと強いチームが現れるように祈ったのさ
【ビクスン】
「おまえんとこは 今回も目標は 『せいいっぱい がんばる』ってやつか?
「そんなチンケな心がまえじゃ 今年も初戦敗退 確実だな
ティーダ
「今回は優勝ねらいだ!
【オーラカ一同】
「うん!
【ビクスン】
「お〜 ねらえねらえ ねらうだけなら誰でもできる
<ゴワーズ、去る>
ワッカ
「決勝で会おうぜ!
ティーダ
「あいつらにだけは勝つぞ!
ユウナ
「知っているチームなの?
ティーダ
「人を見下してバカにして…… あの態度がオレのオヤジみたいだ
ユウナ
「ジェクトさん やさしくて 楽しい人だったよ
ティーダ
「それは別人ッス
【ユウナ】
「ん……
いなくなって10年……
それなのに オヤジのことを考えると
オレの気持ちはザワザワした
<キーリカ寺院・大広間>
ルールー
「ワッカたちは お祈りが足りないのよ
ワッカ
「オハランド様…… なにとぞ お力を……
<選択肢:「祈願する」or「ここで見ている」→「祈願する」を選択>
<すると、二人の男女が試練の間から出てくる>
【女性】
「あなたも召喚士?
ユウナ
「ビサイド島より まいりました ユウナと申します
【ドナ】
「ドナよ
「あなたが大召喚士ブラスカ様の娘ね 血統書つきの召喚士様でしょう?
「あらあらあらあら……
「この人たち 全員あなたのガード? ぞろぞろと みっともないわね
「ブラスカ様のガードは ふたりきりだったはずよ
「ガードは量より質 数に頼るなんて あさはかね
「だから私のガードはひとりだけ ねえバルテロ?
ユウナ
「ガードの人数は 信頼できる人の数と同じです
「自分の命をあずけても 安心だと思える人の数です
「だから わたしにはこんなにガードがいてくれて幸せです
「ええ 父よりも幸せだと思っています
「もちろん あなたの考え方だって 間違いではないと思います
「だから……ドナ先輩 わたしたちのことは放っておいてください
ドナ
「勝手にしなさいよっ 行きましょバルテロ
<ドナ、バルテロ、去る>
ユウナ
「ふぅ……
ガードとは 召喚士が命をあずけても
安心だと思える人
オレ そういう人になれたのかな?
【ユウナ】
「ふふっ
ティーダ
「なに笑ってんだよ
<ユウナ、無言で去る>
<昇降機>
ワッカ
「祈り子様は この下にいらっしゃる さ 行こうぜ!
ティーダ
「イノリゴ?
ルールー
「その前に『試練の間』よ 準備はいいわね ワッカ
ユウナ
「よろしくお願いします
<皆に続いてティーダも昇降機に乗ろうとすると、キマリに押されて外される>
ティーダ
「うっ わっ
「どうして!
ルールー
「ガードじゃないから
ユウナ
「なるべく早く戻るから 待っててね
ティーダ
「また一日かかったりするんじゃないの〜?
<すると、ドナ達がやって来る>
ドナ
「ユウナは?
<ティーダ、納得のいかない様子で下を指差す>
ドナ
「あなたは なにをしているわけ?
ティーダ
「ガードじゃないからな オレ 入っちゃダメなんだろ?
ドナ
「ふーん ガードじゃないんだ?
<するとバルテロ、ティーダに詰め寄る>
ティーダ
「おっ な なんだよ!
<バルテロ、ティーダを持ち上げて昇降機へ>
ティーダ
「あー はなせっつうの!
<昇降機へ投げる>
ティーダ
「あ いて〜
「なにすんだよ!
ドナ
「しかえし
ティーダ
「はぁ?
<昇降機が作動して、ティーダも試練の間へ>
ティーダ
「これ きっと まずいッス
<選択肢:「先へ進む」or「ここで待つ」→「先へ進む」を選択>
ティーダ
「ガード以外は立入禁止なんだよなぁ
「ここまで来ちゃったら おんなじか?
<キーリカ寺院・試練の間を攻略>
<控えの間>
ワッカ
「おいおいおい!
ティーダ
「ドナと筋肉男が 無理やり さあ……
ルールー
「理由はどうあれ 罰を受けるのはユウナよ
ティーダ
「罰って……どんな?
ワッカ
「寺院立入禁止もありうる
ルールー
「ここから先は 召喚士だけの聖なる場所よ
ティーダ
「ガードも入っちゃダメなのか?
ワッカ
「掟だ
【ティーダ】
「あ…
ワッカ
「静かにしていろ
ティーダ
「この中 なにがあるんだ?
ワッカ
「祈り子様がいらっしゃる
ティーダ
「ああ それそれ さっきも言ってたよな
ルールー
「『シン』を倒すために 進んで命をささげた人たちよ
「エボンのわざで 生きながらにして魂を肉体から取り出されて……
ティーダ
「あ?
ルールー
「祈り子像に封じられて 永遠の時を生きる……
「祈り子様の魂は 召喚士の祈りにまねかれて姿を現す
「それが……召喚獣よ
ティーダ
「この部屋の中に?
ティーダ
「ユ ユウナは中でなにをしてるんだ?
ワッカ
「必死に祈ってるんだ 『シン』を倒す力を貸してくれ ってな
<ユウナ、ようやく出てくる。→皆が駆け付ける>
あの時 みんなには
だまっていたことがあるんだ
あそこで聞こえていた歌は
子供のころから知っている歌だった
ザナルカンドとスピラが どこかで
つながっている証拠……そう思った
それに気づいたからなのかな
帰りたい気持ちが急に強くなってさ
胸がつまったみたいで……
なんにも言えなくなった
<召喚獣イフリートの名前入力画面>
<大広間>
おさえていたはずの
ザナルカンドへの気持ち
ふくらんで……はじけた
顔がカーッと熱くなってさ
ユウナ
「だいじょうぶ?
ティーダ
「だいじょうぶじゃ……ないかも
ユウナ
「どう したい?
ティーダ
「……叫びたいかも
「わーーーーーーーっ!
<ビサイド=オーラカ>
【住民A】
「さっきドナって召喚士様が通ったで 連絡船に乗るらしいな
【住民B】
「『シン』のせいで キーリカ中が元気をなくしちまってらあ
「今度の大会でキーリカのチームが勝てば みんなの気も晴れると思うけどよ
<選択肢:「乗船する」or「まだしない」→「乗船する」を選択>
ワッカ
「さーて 次はいよいよ【ルカ】だぜ!
「着いたらすぐに試合が始まる 船の中でゆっくり休んでおけよ!
<連絡船ウイノ号・客室>
ダット
「いよいよ大会本番か…… もっと練習しておきたかったよ
ジャッシュ
「ルカのヤツらに 一服盛ってやりたいぜ!
「じゃなくて一泡吹かせてやりたいぜ!
レッティ
「ルカの連中と同じ船なんで やりにくいっス
ボッツ
「キーリカで買った酔い止めが いい感じで効いてるんスよ
キッパ
「うう…… なんだ この寒気は?
バルゲルダ
「あんたもカワイイ顔してるじゃない かわいがってあげようか?
ドーラム
「オーラカのあのコ ちょっとカワイイじゃない
アンバス
「うちの女ども なにかたくらんでやがるな
「うお〜……こえ〜こえ〜
<通路>
ドナ
「誰かしらね 無粋なことをするのは
ルッツ
「いよいよ試合だな まあ月並みだけど がんばれよ
<甲板>
ティーダ
「な〜に話してんだ?
ビクスン
「なれなれしい野郎だな
グラーブ
「ああ こいつ あれですよ キーリカで会ったじゃないですか
ビクスン
「ああ?
グラーブ
「ほら ビサイド・オーラカのヤツで 優勝するとか ほざいてた
ビクスン
「ああ…… あのオメデタイ奴か
ユウナ
「ひどい言い方
ビクスン
「そりゃ仕方ない
「突然オーラカが強くなるはず ないもんなあ
ティーダ
「オレが入ったら強くなるんだよ!
ユウナ
「そう 強くなるんです!
「ザナルカンドのチームのエースだった人ですからね!
ビクスン
「ハ! そりゃまた スゲエ場所からいらしたもんだ
グラーブ
「遺跡にもチームがあるとは知らなかったよなあ
ユウナ
「遺跡じゃなくて ちゃんとした大きな都市があるんです!
<二人、黙り込む>
ティーダ
「あのさ オレ 『シン』の毒気に……
ユウナ
「あるんだよ 本当に
ビクスン
「召喚士様ってのは わけがわからねえや
<二人、去る>
ティーダ
「どしたの? なんかムキになってなかった?
ユウナ
「あの人たち 失礼だし それに……
「キミのザナルカンドは きっと どこかにあると思う
ティーダ
「どうして?
ユウナ
「ジェクトさんに聞いてから ずっと あこがれてたんだ
「いつか 行きたいなあって 思ってた
「ね 帰れるといいね
ティーダ
「うん
オレんち 来る? とか言いたかった
そう言えない理由を考えると……
悲しくなった
【男】
「今年のオーラカは イケるんじゃないか?
「ザナルカンドから来た選手が入ってるんだってさ
【女】
「あきれた あんなウワサ信じてるの?
【男】
「信じてるわけないだろ いい見物って意味さ
ダット
「あんた まだ毒気が抜けてないみたいだね ムリしないで 早寝しときなよ
ジャッシュ
「ゴワーズのヤツらが船室に降りたから やっと のびのびできるっすよ
ルールー
「なんとか言いなさい
「無責任だと思うでしょ
ワッカ
「だいじょうぶだって ルカに あいつの知り合いいるって
ルールー
「いなかったら?
ワッカ
「そんときゃ どっかのチームに入るとか……
「とにかく ビサイドにいるよっか 何倍もマシだろ?
ルールー
「ようするに…… 後はご勝手に ってこと?
ワッカ
「どーすれってんだよ
ルールー
「ユウナが ガードにしたがっている
ワッカ
「ああ……それそれ めんどうなコトになったよなあ
ルールー
「原因作ったのは誰?
ワッカ
「オレだってのかよ!
「オレだよなァ……
「な どうしてユウナは あいつをガードにしたがるんだ?
ルールー
「ジェクト様の息子だからよ
ワッカ
「あ なるほどねえ
「でも それホントなのか? ホントにジェクト様の息子なのか?
ルールー
「真実はともかく ユウナはそう信じてるわね
ワッカ
「なるほど
ルールー
「なるほど なるほどって あんた ちゃんと考えてるの?
ワッカ
「考えてっけど……
「結局 あいつが決めることだ あいつとユウナが決めることだろ?
ルールー
「まともなこと言うじゃない
ワッカ
「へへん!
ルールー
「どうなるのが 一番いいのかしら……
「あんたから すすめてみたら?
ワッカ
「なにを?
ルールー
「ユウナのガードになること
ワッカ
「なーんでオレが?
ルールー
「ユウナからは言えないでしょ
ワッカ
「なんで?
ルールー
「父親がキライで 父親の影を重ねられるのもいや
「そんなこと言ってる人に 言えると思う?
「キミはジェクト様の息子だからわたしのガードになってほしい って
ワッカ
「気にしすぎじゃないかあ?
【ルールー】
「はあ…
ワッカ
「わかったよ
「大会終わって落ち着いたら オレから話してみる
ルールー
「無理じいしちゃダメよ
ワッカ
「わかってるって 決めるのはあいつだ
「あいつ 父親がキライなのか?
ルールー
「そうみたい ユウナから聞いたわ
ワッカ
「オヤジがキライかあ そりゃゼイタクなもんだよな
「オレ 両親のことなんて おぼえちゃいないもんなあ
「好きもキライもないもんなあ……
ルールー
「私は……5歳だったから 少しは おぼえてる
ワッカ
「くそっ!
「『シン』がなんでもかんでも取っていきやがる……
ワッカ
「そろそろ寝とけ ルカについたらすぐ試合だ
ルールー
「ちょっと考えごとしてるから…… 悪いわね
ワッカ
「知り合い 見つかるといいな 試合んときは 思いっきり目立てよ
<回想>
<幼少のティーダがあるシュートの練習を一人でしているところに…>
ジェクト
「これはこれは ジェクトさんちのおぼっちゃまではありませんか
「いつもはタダじゃあ 見せないんですけどねえ
「そのシュートは こうやるんですよ!
<ジェクト、“ジェクトシュート”を放つ>
ジェクト
「おまえにゃ できねえよ
「でもな 心配するこたあねえ
「できないのは おまえだけじゃない
「オレ以外にはできやしねえ オレは特別だからな
<回想終了>
<ジェクトシュート・チャレンジ>
<以下、『あの日の思い出』のジェクトのセリフ>
【ジェクト】
「無様でございますねえ
「オレ以外にはできやしねえ
「がははははははは!
「がははははははは!
「おまえにゃできねえよ
「おまえにゃできねえよ
「オレ以外にはできやしねえ
「無様でございますねえ
「オレ以外にはできやしねえ
「おまえにゃできねえよ
「オレは特別だからな
「オレは特別だからな
「おまえにゃできねえよ
「オレ以外にはできやしねえ
「おまえにゃできねえよ
<ジェクトシュート成功>
ティーダ
「はあっ…
「ふん
「なーにが特別だってんだ
「ん?
ワッカ
「すげえ! なんて技だ それ?
ティーダ
「名前なんかないし 練習すれば誰にでもできる
ワッカ
「もう一回やってみてくんねぇか?
ユウナ
「ジェクトシュートだよね さっきの
ティーダ
「あっ……
「なんで知ってるスか?
ユウナ
「子供のころ ジェクトさんが見せてくれたんだ
「正式な名称は 『ジェクト様シュート3号』……だよね? ふふふっ
ティーダ
「はあ〜
「バカな名前だよな
「それにさ 本当は1号も2号もないんだぞ
「3号って言っとけば 1号も2号もあるって客は期待する
「そういう客は 今夜こそ見れるかもって毎晩スタジアムに来るって言ってた
「でさ ホントにその通りになって……
「すっごくハラが立ったな
【ユウナ】
「ふふっ…
ティーダ
「オヤジ 生きてるのか?
ユウナ
「わからない
「でもね ジェクトさんは父さんのガードだったから……
ティーダ
「こっちでも 有名人?
ユウナ
「うん
「だから もし亡くなったとしたら その話は伝わってくると思うんだ
ティーダ
「ふーん
ユウナ
「ね 会えたら……どうする?
ティーダ
「10年前に死んだと思ってたヤツだぞ? いまさらなあ……
「そうだなあ
「なにより先にブンなぐる
「アイツのせいで オレも母さんも苦労したし……
「アイツが有名なせいで オレはいつでも……
「ユウナならわかるだろ?
【ユウナ】
「ん?
ティーダ
「ユウナのオヤジさんも有名なんだろ? この世界の人は みんな知ってるよな
【ユウナ】
「うん
ティーダ
「イヤじゃないのか?
ユウナ
「ときどき父さんの名を重たく感じることはあるけど……
ティーダ
「だろ?
ユウナ
「それよりも スピラ中から したわれる父さんを誇りに思う かな
ティーダ
「ま ユウナのオヤジさんと オレのオヤジはちがうってことで
ユウナ
「ジェクトさん かわいそう
ティーダ
「オレは〜?
ユウナ
「もっと かわいそうだね
<すると、ブリッツボールがティーダに当たる>
【ティーダ】
「ぃでっー
ワッカ
「さっきの もう一回やってくれ〜!
【ティーダ】
「ああ!
オヤジがルカに来るとは
思えなかった
あいつ 他人の活躍を見るのが
キライだったからさ
だけどかならず なにかが起きる
そんな胸騒ぎがして 眠れなかった
大会で活躍するッス! なんて言ったのは
不安をまぎらわす カラ元気ってヤツでさ
TO BE CONTINUED....